蒸し暑く風の強い六月二十五日の午後,
「二十四歳の一人息子さんが事故で亡くなり,今夜お通夜です。」
と連絡がありました。

何と言う痛ましいことか,ご両親のお悲しみは想像もつきません。

恐らくは取り乱しておられるであろう,あるいは放心状態でいらっしゃるか,何と申し上げようか,どんな法話をすれば良いのか,お迎えの車中でも動揺していました。

しかしお玄関に出てこられたご両親は,
「このたびはお忙しいところ突然にお願いいたしまして」
と全く落ち着いたご様子で挨拶をされました。

お部屋に案内されてからお母さんは悲しみをじっとこらえながら,こんなことを私に言われたのです。
「阿弥陀様からいただいたこの子を,私は二十四年間一生懸命育てさせてもらいました。
おかげさまでとてもやさしく素直な子でした。

勤めるようになっても,皆さんからかわいがっていただきました。
給料袋はいつも封を切らずに渡してくれました。

でもこんなに早く阿弥陀様のところへ帰っていくとは思いませんでした。

朝には紅顔あって,夕には白骨となれる身だよ,もっとお寺へ参りお聴聞しなさいと,この子が教えてくれているように思えるんです。」

私はこれを聞いて,
「奥さん,学ばせていただきました。
よくもそこまで。」
と思わず合掌いたしました。

このご夫婦は,御法義盛んな福井県のご出身で,子供の時からご聴聞を重ねてこられた方々でした。

合掌
お通夜に学ぶ